任意の周期数列を作る その2
表記(再掲)
この記事では便宜的に数列とベクトルを同一視した書き方をします。
そしてベクトルとみなした数列を で繋ぎ、加減算・スカラー倍します。
という周期 の数列 と、 次元ベクトル を対応させ、 と便宜的に表記することにします。
あくまでもこの記事の中だけの表記です。
この数列の一般項が のとき と書くことにします。
このとき です。
例えば であるような周期 の数列を
と表記し、 としたときに
のような操作をします。
添え字 は正の整数とします。
周期12
一般項の形がきれいじゃなくなってきた・・・・・・これ以上周期が長くなるときれいな一般項の独立な数列作るの無理ですよ~~~(涙)
あっ、そうだ(唐突)
ここからは周期 および周期 の数列を作るときに使った数列を用いて周期 と周期 の数列を作れるようにします。
まずは周期 の数列を作ることを考えます。
の基底を成していた6個の周期6の数列(に対応するベクトル)
をうまく使うと の基底となるような周期12の数列12個を作ることができます。
周期12の数列を作るために,互いに一次独立な12個の数列
を次のように構成します。
①.前半の 個 はそれぞれ
を2周期分繰り返した数列とする。一般項は②.後半の 個 はそれぞれ
の2つを1周期分ずつ繋げた数列とする。一般項(仮)は簡単に言えば①は を2回繰り返して としよう!ってことです。ただし、2回繰り返したところで一般項は変わりません。
②は とその符号を反対にしたものを繋げて としよう!ってことです。
①を用いて、独立な12個の数列のうち最初の6つを次のように構成します。
次に②を用いて、独立な12個の数列の残りの6つを次のように構成します。
後半6つの一般項は、前半6つの一般項に という数列を掛ければ出来上がります。
この数列の一般項は ~ のときに正の値、 ~ のときに負の値をとるような周期12の数列の一般項をそれ自身の絶対値で割ることで得られ、その一般項は で与えられます。
よって、後半の6つの数列の一般項は次の式で与えられます。
から の一般項は から で表せてしまいました。
これらの数列を用いれば、周期12の任意の数列の一般項を実数 ~ を用いて
と表すことができます。
さて、本当でしょうか?
作った12個の数列が独立かどうか確かめなければなりません。
周期12の数列 について考えます。
周期6のときの係数 ~ は
という行列から求めました。ここにある6次正方行列を とおきます。すると周期12のときの係数 ~ は
によって求められます。
ここで、 に逆行列 が存在するとき の逆行列も存在し、 となります。
よって は独立であり、周期数列 の係数 ~ は
で求めることができます。
周期3・2m (m≧2)
周期 と同じように上の①,②の処理を繰り返し用いることで周期 の任意の周期数列を作ることができます。
例えば、任意の周期 の数列 の一般項 は、実数 ~ と6つの数列
を用いて
と表せます。分母の と に注意です。
そして係数 ~ は、6次正方行列 ,12次正方行列 ,24次正方行列 をそれぞれ
で定めると、
で求めることができます。ただし
です。
アダマール行列のような形の並びが出てきていますね。
周期2m (m≧4)
同様に周期 の数列に対して上の①,②の処理を繰り返し用いることで周期 の周期数列を作ることができます。
例えば、任意の周期 の数列の一般項 は実数 ~ と数列
を用いてと表せます。
そして係数 ~ は8次正方行列 ,16次正方行列 を
で定めると
で与えられます。
このとき、 の逆行列は
となります。
同様に、任意の周期 の数列の一般項 は実数 ~ を用いて
と表せます。係数は上の8次及び16次正方行列 と32次正方行列
を用いて
で与えられます。
グラフ
実際に周期16の数列 の一般項を作ってみました。
その一般項の添え字 を実数 に置き換えてグラフにしたものが下の図です。
ノコギリ波のフーリエ級数展開っぽい形してますね・・・
グラフにすると途中で途切れていることがわかります。
の符号が を境に逆転するからです。
周期 では上の式を使っていないのでグラフは連続です。
連続じゃないのが少し残念・・・・・・というだけの話でした。
この記事では周期 または周期 の数列から周期を2倍4倍・・・にしていきましたが、周期 や周期 から周期を伸ばしてももちろんOKです。
次の記事ではいよいよ(?)周期 の数列の一般項を作ります。