多項式と等比数列の積の形で表された数列の和を求めること
先日,フモフモさん氏(twitter: @fumofumobun)により,一般項が の形で表された数列の和を爆速で計算する手法が Twitter に投稿されました。
えー、神公式を作りました
— フモフモさん (@fumofumobun) 2018年12月28日
センターでこれが出たら爆速回答できてハイパーインフレします(もはやチート) pic.twitter.com/uBZyPnMdVj
ハ!? ヤバ!!!!! と初見時は思ったもので,上の公式によって QOL の爆上げという大変な恩恵を享受してしまいました。そこで本記事ではこれを一般化し,( の 次多項式)×(等比数列)の形で表された数列 の初項から第 項までの和を公式として表現することを試みます。本記事で紹介する公式による更なる QOL の向上はもはや不可避です。
目次
計算
上の数列 に対し,
を満たすような関数 をまず見つけましょう。 の一般項の形から, は
と表せることが推測されます。ここで,各 は複素数で,2行目の和における の場合について と定めます。このとき,
であり,さらに
となります。よって, を計算すると
となります。したがって, が任意の で成り立つことは,
が任意の に対して成り立つことと同値です。これを についての恒等式とみて係数を比較すると,
であればよいことが分かります。これより,
が得られます。これら各 は, の順に計算することができます。
以上より,求める和 は,
となります。
具体例
いくつかの具体例を以下に紹介します。
N = 1 の場合
上で得られた式が,フモフモさん氏の公式の拡張となっていることを確かめましょう。 の場合を考え,数列 の一般項が で与えられているとします。このとき,
とすれば, が成り立ちます。これは確かにフモフモさん氏の公式と一致しています。
例題. 和 を計算せよ。解答., より,
N = 2 の場合
数列 の一般項が で与えられているとします。このとき,
とすれば, が成り立ちます。
例題. 和 を計算せよ。解答.
より,
N = 3 の場合
数列 の一般項が で与えられているとき,
とすれば, が成り立ちます。
N = 4 の場合
数列 の一般項が で与えられているとき,
とすれば, が成り立ちます。
右辺の の係数に着目すると,符号はマイナスから始まり,プラス,マイナス,プラスというようにかわりばんこに出現し,係数の絶対値には二項係数 がきれいに並んでいることがわかります。他の も同様の規則で並んでおり,これを理解すれば公式を覚えることは容易いでしょう。
質問や間違い等ございましたら,本記事へのコメント,もしくは私の Twitter (@hogehogehogege) までお気軽にお尋ねください~!