任意の周期数列を作る その1

先日Twitterでこんなツイートをしました。

この一般項の作り方の話をします。

目次

その1: ココ
      周期  2,\ 3,\ 4,\ 6,\ 8

その2: 任意の周期数列を作る その2 - 冷水催眠
      周期  12,\ 3・2^m,\ 2^m

その3: 任意の周期数列を作る その3 - 冷水催眠
      周期  m


追記 (2019/12/11)

一般に,周期数列は離散フーリエ変換(DFT)により一般項を求めることが出来ます。実際,周期  N の数列  \{ a_n \}_{n = 0}^\infty について,

 \displaystyle A_k = \sum_{n = 0}^{N-1} a_n e^{-i \frac{2 k n \pi}{N}} \quad (k = 0,\, 1,\, 2,\,\ldots,\, N - 1)
とおけば,数列  \{ a_n \} の一般項は
 \displaystyle a_n = \frac{1}{N} \sum_{k = 0}^{N-1} A_k e^{i \frac{2 k n \pi}{N}} \quad (n = 0,\, 1,\, 2,\,\ldots)
と表せます。ここで, i虚数単位です。
以上により「任意の周期数列を作る」という本記事の趣旨は達成されますが,この記事では(本記事の執筆当時は頭が悪かったので),与えられた周期数列に対し,その約数周期の周期数列をあらかじめいくつか用意し,それらの一次結合として一般項を表すという手順で一般項を求めます。

表記

この記事では便宜的に数列とベクトルを同一視した書き方をします。

そしてベクトルとみなした数列を  = で繋ぎ、加減算・スカラー倍します。


 c_1,\ c_2,\ \ldots, c_m,\ c_1,\ c_2,\ \ldots, c_m,\ c_1,\ \ldots という周期  m の数列  \{a_n\} と、 m 次元ベクトル  (c_1,\ c_2,\ \ldots,\ c_m) を対応させ、 a_n=(c_1,\ c_2,\ \ldots,\ c_m) と便宜的に表記することにします。

あくまでもこの記事の中だけの表記です。

この数列の一般項が  f(n) のとき  (c_1,\ c_2,\ \ldots,\ c_m)=f(n) と書くことにします。

このとき  a_n=f(n) です。


例えば  a_1=1,\ a_2=2,\ a_3=3 であるような周期  3 の数列を

 \begin{align} \{a_n\} &= \{1,\ 2,\ 3,\ 1,\ 2,\ 3,\ 1,\ 2,\ 3,\ \ldots\} \\ a_n &= (1,\ 2,\ 3) \end{align}

と表記し、 b_n=(3,\ 4,\ 5) としたときに

 2a_n+b_n=2(1,\ 2,\ 3)+(3,\ 4,\ 5)=(5,\ 8,\ 11)

のような操作をします。

添え字  n は正の整数とします。


周期2

周期2の周期数列は簡単に作れてしまいますが、ここではこの後の話に繋がるような形で求めていきます。

まず2つの数列を用意します。

 a_n = (1,\ 1), \hspace{20px} b_n = (-1,\ 1)

それぞれ

 \{a_n\}=\{1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1,\ \ldots\} \\ \{b_n\}=\{-1,\ 1,-1,\ 1,-1,\ 1,\ \ldots\}

を意味します。

それぞれの一般項は

 a_n=1, \hspace{20px} b_n=\cos{n\pi}

となります。*1


任意の周期2の数列は、この2つの数列の一次結合  t_1a_n+t_2b_n で表せます。

例えば数列  \{3,\ 5,\ 3,\ 5,\ \ldots\} は、 \{1,\ 1,\ 1,\ 1,\ \ldots\} 4 倍と  \{-1,\ 1,-1,\ 1,\ \ldots\} の足し算で表せます。


周期数列  (a,\ b)=\{a,\ b,\ a,\ b,\ \ldots \} の一般項を作ってみましょう。

数列  (a,\ b) a_n,\ b_n の一次結合で表せるので

 \begin{align} (a,\ b)&=t_1a_n+t_2b_n \\ &=t_1(1,\ 1)+t_2(-1,\ 1) \\ &=(t_1-t_2,\ t_1+t_2) \end{align}

両辺の要素を比較して連立すると

 \displaystyle
\left( \begin{array}{c} a \\ b \end{array} \right) = 
\left( \begin{array}{cc} 1 & -1 \\ 1 & 1 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{c} t_1 \\ t_2 \end{array} \right)

 \displaystyle \begin{align}
\left( \begin{array}{c} t_1 \\ t_2 \end{array} \right) &= 
\left( \begin{array}{cc} 1 & -1 \\ 1 & 1 \end{array} \right)^{-1}
\left( \begin{array}{c} a \\ b \end{array} \right) \\ &= 
\displaystyle \frac{1}{2}\left( \begin{array}{cc} 1 & 1 \\ -1 & 1 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{c} a \\ b \end{array} \right)\end{align}

 \displaystyle t_1=\frac{1}{2}(a+b), \hspace{20px} t_2=-\frac{1}{2}(a-b)

となるので、数列  (a,\ b) の一般項は

 (a,\ b)=\displaystyle \frac{1}{2}(a+b)a_n-\frac{1}{2}(a-b)b_n

と書けます。


数列  a_n,\ b_n の一般項はそれぞれ  a_n=1, \hspace{10px} b_n=\cos{n\pi} なので

一般項  (a,\ b)=\displaystyle \frac{1}{2}(a+b)-\frac{1}{2}(a-b)\cos{n\pi}

が求まります。


周期3

周期が3のときは3つの数列を用意します。

このとき、3つの数列それぞれに対応する3つのベクトルが一次独立になるようにします。

 \begin{align}
    \displaystyle a_n &= (1,\ 1,\ 1) = 1 \\
    \displaystyle b_n &= (1,-1,\ 0) = \frac{2\sqrt{3}}{3}\sin{\frac{2n\pi}{3}} \\
    \displaystyle c_n &= (-1,-1,\ 2) = 2\cos{\frac{2n\pi}{3}}
\end{align}

とすると

 \displaystyle
\left| \begin{array}{ccc} a_n\ \ b_n\ \ c_n \end{array} \right| = 
\left| \begin{array}{ccc} 1 & 1 & -1 \\ 1 & -1 & -1 \\ 1 & 0 & 2 \end{array} \right| = -6 \ne 0

となるので、この3つの数列(ベクトル)は独立です。

したがって、任意の周期3の数列は  a_n,\ b_n,\ c_n の一次結合で表すことができます。


周期数列  (a,\ b,\ c) の一般項を作ってみましょう。一般項は実数  t_1,\ t_2,\ t_3 を用いて

 \begin{align}
    (a,\ b,\ c) &= t_1a_n+t_2b_n+t_3c_n \\
    &= t_1(1,\ 1,\ 1)+t_2(1,-1,\ 0)+t_3(-1,-1,\ 2)
\end{align}

と表すことができます。これを行列にすると

 \displaystyle
\left( \begin{array}{c} a \\ b \\ c \end{array}\right) = 
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 1 & -1 \\ 1 & -1 & -1 \\ 1 & 0 & 2 \end{array}\right)
\left( \begin{array}{c} t_1 \\ t_2 \\ t_3 \end{array} \right)
すなわち
 \displaystyle
\left( \begin{array}{c} t_1 \\ t_2 \\ t_3 \end{array}\right) = \frac{1}{6}
\left( \begin{array}{ccc} 2 & 2 & 2 \\ -3 & -3 & 0 \\ -1 & -1 & 2 \end{array}\right)
\left( \begin{array}{c} a \\ b \\ c \end{array} \right)

によって係数  t_1,\ t_2,\ t_3 が求まり、一般項

 \begin{align}
    (a,\ b,\ c) &= t_1(1,\ 1,\ 1)+t_2(1,-1,\ 0)+t_3(-1,-1,\ 2) \\
    &= t_1+\frac{2\sqrt{3}}{3}t_2\sin{\frac{2n\pi}{3}}+2t_3\cos{\frac{2n\pi}{3}}
\end{align}

が決定します。具体的に書き出すと

 \displaystyle (a,\ b,\ c) = \frac{1}{3}(a+b+c)-\frac{\sqrt{3}}{3}(a+b)\sin{\frac{2n\pi}{3}}-\frac{1}{6}(a+b-2c)\cos{\frac{2n\pi}{3}}

となります。


周期4

任意の周期4の数列を作るには、独立な数列が4つ必要です。

(最短)周期が  1,\ 2,\ 4,\ 4 の4つの数列を次のように用意します。*2

 \begin{align}
    \displaystyle a_n &= (1,\ 1,\ 1,\ 1) = 1 \\
    \displaystyle b_n &= (-1,\ 1,-1,\ 1) = \cos{n\pi} \\
    \displaystyle c_n &= (1,\ 0,-1,\ 0) = \sin{\frac{n\pi}{2}} \\
    \displaystyle d_n &= (0, -1,\ 0,\ 1) = \cos{\frac{n\pi}{2}}
\end{align}

このとき

 \displaystyle
\left| \begin{array}{cccc} a_n\ \ b_n\ \ c_n\ \ d_n \end{array} \right| = 
\left| \begin{array}{cccc} 1 & -1 & 1 & 0 \\ 1 & 1 & 0 & -1 \\ 1 & -1 & -1 & 0 \\ 1 & 1 & 0 & 1 \end{array} \right| = -8 \ne 0

より4つの数列は独立になります。


同じように周期数列  (a,\ b,\ c,\ d) の一般項を作ります。

この数列の一般項は4つの独立な数列  a_n,\ b_n,\ c_n,\ d_n を用いて

 \begin{align}
    (a,\ b,\ c,\ d) &= t_1a_n+t_2b_n+t_3c_n+t_4d_n \\
    &= t_1(1,\ 1,\ 1,\ 1)+t_2(-1,\ 1,-1,\ 1)+t_3(1,\ 0,-1,\ 0)+t_4(0, -1,\ 0,\ 1)
\end{align}

と表すことができます。したがって

 \displaystyle
\left( \begin{array}{c} a \\ b \\ c \\ d \end{array}\right) = 
\left( \begin{array}{cccc} 1 & -1 & 1 & 0 \\ 1 & 1 & 0 & -1 \\ 1 & -1 & -1 & 0 \\ 1 & 1 & 0 & 1 \end{array} \right)
\left( \begin{array}{c} t_1 \\ t_2 \\ t_3 \\ t_4 \end{array} \right)

 \displaystyle
\left( \begin{array}{c} t_1 \\ t_2 \\ t_3 \\ t_4 \end{array}\right) = \frac{1}{4}
\left( \begin{array}{cccc} 1 & 1 & 1 & 1 \\ -1 & 1 & -1 & 1 \\ 2 & 0 & -2 & 0 \\ 0 & -2 & 0 & 2 \end{array}\right)
\left( \begin{array}{c} a \\ b \\ c \\ d \end{array} \right)

によって係数  t_1,\ t_2,\ t_3,\ t_4 が求まり、一般項

 \begin{align}
    (a,\ b,\ c,\ d) &= t_1(1,\ 1,\ 1,\ 1)+t_2(-1,\ 1,-1,\ 1)+t_3(1,\ 0,-1,\ 0)+t_4(0, -1,\ 0,\ 1) \\
    &= t_1+t_2\cos{n\pi}+t_3\sin{\frac{n\pi}{2}}+t_4\cos{\frac{n\pi}{2}}
\end{align}

が求まります。


周期6

任意の周期6の数列を作るために、周期が  1,\ 2,\ 3,\ 3,\ 6,\ 6 の独立な数列を次のように6つ用意します。

 \begin{align}
    \displaystyle a_n &= (1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1) = 1 \\
    \displaystyle b_n &= (-1,\ 1, -1,\ 1, -1,\ 1) = \cos{n\pi} \\
    \displaystyle c_n &= (1, -1,\ 0,\ 1, -1,\ 0) = \frac{2\sqrt{3}}{3}\sin{\frac{2n\pi}{3}} \\
    \displaystyle d_n &= (-1, -1,\ 2, -1, -1,\ 2) = 2\cos{\frac{2n\pi}{3}} \\
    \displaystyle e_n &= (1,\ 1,\ 0, -1, -1,\ 0) = \frac{2\sqrt{3}}{3}\sin{\frac{n\pi}{3}} \\
    \displaystyle f_n &= (1, -1, -2, -1,\ 1,\ 2) = 2\cos{\frac{n\pi}{3}}
\end{align}

このとき

 \displaystyle
\left| \begin{array}{cccccc} a_n\ \ b_n\ \ c_n\ \ d_n\ \ e_n\ \ f_n \end{array} \right| = 288 \ne 0

となり、6つの数列は独立です。


周期数列  (a,\ b,\ c,\ d,\ e,\ f) の一般項を求めます。

この数列の一般項は6つの数列  a_n f_n を用いて

 (a,\ b,\ c,\ d,\ e,\ f) = t_1a_n+t_2b_n+t_3c_n+t_4d_n+t_5e_n+t_6f_n

と表すことができます。係数  t_1,\ t_2,\ \ldots,\ t_6

 \displaystyle
\left( \begin{array}{c} t_1 \\ t_2 \\ t_3 \\ t_4 \\ t_5 \\ t_6 \end{array} \right) = \frac{1}{12}
\left( \begin{array}{cccccc}
    2 & 2 & 2 & 2 & 2 & 2 \\
    -2 & 2 & -2 & 2 & -2 & 2 \\
    3 & -3 & 0 & 3 & -3 & 0 \\
    -1 & -1 & 2 & -1 & -1 & 2 \\
    3 & 3 & 0 & -3 & -3 & 0 \\
    1 & -1 & -2 & -1 & 1 & 2
\end{array} \right)
\left( \begin{array}{c} a \\ b \\ c \\ d \\ e \\ f \end{array}\right)

によって求まります。これによって一般項

 (a,\ b,\ c,\ d,\ e,\ f) \\ \displaystyle \ = t_1+t_2\cos{n\pi}+ \frac{2\sqrt{3}}{3}t_3\sin{\frac{2n\pi}{3}}+2t_4\cos{\frac{2n\pi}{3}}+\frac{2\sqrt{3}}{3}t_5\sin{\frac{n\pi}{3}}+2t_6\cos{\frac{n\pi}{3}}

が求まります。


例: 周期6 (1, 1, 4, 5, 1, 4)

ここで、一度ツイートした周期数列  (1,\ 1,\ 4,\ 5,\ 1,\ 4) の一般項を実際に作ってみます。


上で定めた6つの数列  a_n,\ b_n,\ c_n,\ d_n,\ e_n,\ f_n を用いて

 \begin{align} (1,\ 1,\ 4,\ 5,\ 1,\ 4) &= t_1a_n+t_2b_n+t_3c_n+t_4d_n+t_5e_n+t_6f_n \end{align}

と表します。

 a_n = (1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1),\hspace{20px} b_n = (-1,\ 1, -1,\ 1, -1,\ 1),\\ c_n = (1, -1,\ 0,\ 1, -1,\ 0),\hspace{20px} d_n = (-1, -1,\ 2, -1, -1,\ 2),\\ e_n = (1,\ 1,\ 0, -1, -1,\ 0),\hspace{20px} f_n = (1, -1, -2, -1,\ 1,\ 2)

から行列を作ると、係数  t_1,\ t_2,\ \ldots,\ t_6

 \begin{align} \displaystyle
\left( \begin{array}{c} t_1 \\ t_2 \\ t_3 \\ t_4 \\ t_5 \\ t_6 \end{array} \right) &= \frac{1}{12}
\left( \begin{array}{cccccc}
    2 & 2 & 2 & 2 & 2 & 2 \\
    -2 & 2 & -2 & 2 & -2 & 2 \\
    3 & -3 & 0 & 3 & -3 & 0 \\
    -1 & -1 & 2 & -1 & -1 & 2 \\
    3 & 3 & 0 & -3 & -3 & 0 \\
    1 & -1 & -2 & -1 & 1 & 2
\end{array} \right)
\left( \begin{array}{c} 1 \\ 1 \\ 4 \\ 5 \\ 1 \\ 4 \end{array}\right) \\
\displaystyle &= \left( \begin{array}{c} 8/3 \\ 2/3 \\ 1 \\ 2/3 \\ -1 \\ -1/3 \end{array}\right)
\end{align}

と求まります。したがって、周期数列  (1,\ 1,\ 4,\ 5,\ 1,\ 4) の一般項は

 \begin{align} (1,\ 1,\ 4,\ 5,\ 1,\ 4) &= \frac{8}{3}+\frac{2}{3}\cos{n\pi}+1・\frac{2\sqrt{3}}{3}\sin{\frac{2n\pi}{3}}+\frac{2}{3}・2\cos{\frac{2n\pi}{3}}-1・\frac{2\sqrt{3}}{3}\sin{\frac{n\pi}{3}}-\frac{1}{3}・2\cos{\frac{n\pi}{3}} \\
&= \frac{8}{3}+\frac{2}{3}\cos{n\pi}+\frac{2\sqrt{3}}{3}\sin{\frac{2n\pi}{3}}+\frac{4}{3}\cos{\frac{2n\pi}{3}}-\frac{2\sqrt{3}}{3}\sin{\frac{n\pi}{3}}-\frac{2}{3}\cos{\frac{n\pi}{3}} \end{align}

となります。

ツイートしたのはこれを  \displaystyle \frac{2}{3} で括って順番を変えた

 \displaystyle (1,\ 1,\ 4,\ 5,\ 1,\ 4) = \frac{2}{3} \left( \cos{n\pi}+\sqrt{3}\sin{\frac{2n\pi}{3}}+2\cos{\frac{2n\pi}{3}}-\sqrt{3}\sin{\frac{n\pi}{3}}-\cos{\frac{n\pi}{3}}+4 \right)

の形でした。


周期8

任意の周期8の数列を作るために、周期が  1,\ 2,\ 4,\ 4,\ 8,\ 8,\ 8,\ 8 の独立な数列を次のように8つ用意します。

 \begin{align}
    \displaystyle a_n &= (1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1) = 1 \\
    \displaystyle b_n &= (-1,\ 1, -1,\ 1, -1,\ 1, -1,\ 1) = \cos{n\pi} \\
    \displaystyle c_n &= (1,\ 0,-1,\ 0,\ 1,\ 0,-1,\ 0) = \sin{\frac{n\pi}{2}} \\
    \displaystyle d_n &= (0, -1,\ 0,\ 1,\ 0, -1,\ 0,\ 1) = \cos{\frac{n\pi}{2}} \\
    \displaystyle e_n &= (1,\ 2,\ 1,\ 0, -1, -2, -1,\ 0) = (\ ?\ ) \\
    \displaystyle f_n &= (1,\ 0, -1, -2, -1,\ 0,\ 1,\ 2) = (\ ?\ ) \\
    \displaystyle g_n &= (0,\ 1,\ 2,\ 1,\ 0, -1, -2, -1) = (\ ?\ ) \\
    \displaystyle h_n &= (2,\ 1,\ 0, -1, -2, -1,\ 0,\ 1) = (\ ?\ )
\end{align}

これら8つの数列は

 \displaystyle
\left| \begin{array}{cccccc} a_n\ \ b_n\ \ c_n\ \ d_n\ \ e_n\ \ f_n\ \ g_n\ \ h_n \end{array} \right| = 512 \ne 0

より独立で、これらの一次結合で任意の周期8の数列が作れます。

 e_n h_n の一般項はどうやって作りましょう。


まずは  e_n = (1,\ 2,\ 1,\ 0, -1, -2, -1,\ 0) の一般項を作るために、似た形の関数をひとつ持ってきます。

ここでは  f(n)=\displaystyle 2\sin{\frac{n\pi}{4}} を使うことにしましょう。 f(n) が一般項の周期数列は  \displaystyle (\sqrt{2},\ 2,\ \sqrt{2},\ 0, -\sqrt{2}, -2, -\sqrt{2},\ 0) です。すこしずらすだけで  e_n が作れそうです。


この  \displaystyle (\sqrt{2},\ 2,\ \sqrt{2},\ 0, -\sqrt{2}, -2, -\sqrt{2},\ 0) e_n にしちゃえばいいじゃないか!って人もいるかと思いますが、係数を計算する上で数列が常に整数値をとったほうが都合がよいのです。


下の [図 1] の青い曲線が  \displaystyle y=f(n) です。


f:id:hge:20160307094510p:plain

[図 1]


この青い曲線をピンクの矢印のようにずらし、曲線が赤い点を全て通るようにします。

 
    e_1=f(1-\frac{1}{3})=1,\hspace{20px} e_2=f(2)=2 \\
    e_3=f(3+\frac{1}{3})=1,\hspace{20px} e_4=f(4)=0 \\
    e_5=f(5-\frac{1}{3})=-1,\hspace{20px} e_6=f(6)=-2 \\
    e_7=f(7+\frac{1}{3})=-1,\hspace{20px} e_8=f(8)=0

とすればよいので

 \displaystyle e_n=f\left(n-\frac{1}{3}\sin{\frac{n\pi}{2}}\right)=2\sin{\frac{(3n-\sin{\frac{n\pi}{2}})\pi}{12}}

となります。ずらしたグラフは次の図のようになります。


f:id:hge:20160307095525p:plain

[図 2]


同様に  f_n から  h_n も次のように一般項を作ることができます。

 \begin{align}
    \displaystyle f_n &= (1,\ 0, -1, -2, -1,\ 0,\ 1,\ 2) = 2\cos{\frac{(3n+\sin{\frac{n\pi}{2}})\pi}{12}} \\
    \displaystyle g_n &= (0,\ 1,\ 2,\ 1,\ 0, -1, -2, -1) = 2\sin{\frac{(3n-3+\cos{\frac{n\pi}{2}})\pi}{12}} \\
    \displaystyle h_n &= (2,\ 1,\ 0, -1, -2, -1,\ 0,\ 1) = 2\cos{\frac{(3n-3-\cos{\frac{n\pi}{2}})\pi}{12}}
\end{align}


それでは今までと同様に周期数列  (a,\ b,\ c,\ d,\ e,\ f,\ g,\ h) の一般項を求めます。

 (a,\ b,\ c,\ d,\ e,\ f,\ g,\ h) = t_1a_n+t_2b_n+\ldots+t_8h_n\hspace{20px}(t_i \in {\bf R})

と表して

 \displaystyle
\left( \begin{array}{c} t_1 \\ t_2 \\ t_3 \\ t_4 \\ t_5 \\ t_6 \\ t_7 \\ t_8 \end{array} \right) = \frac{1}{8}
\left( \begin{array}{cccccccc}
    1 & 1 & 1 & 1 & 1 & 1 & 1 & 1 \\
    -1 & 1 & -1 & 1 & -1 & 1 & -1 & 1 \\
    2 & 0 & -2 & 0 & 2 & 0 & -2 & 0 \\
    0 & -2 & 0 & 2 & 0 & -2 & 0 & 2 \\
    -2 & 4 & -2 & 0 & 2 & -4 & 2 & 0 \\
    -2 & 0 & 2 & -4 & 2 & 0 & -2 & 4 \\
    0 & -2 & 4 & -2 & 0 & 2 & -4 & 2 \\
    4 & -2 & 0 & 2 & -4 & 2 & 0 & -2
\end{array} \right)
\left( \begin{array}{c} a \\ b \\ c \\ d \\ e \\ f \\ g \\ h \end{array}\right)

から係数  t_1,\ \ldots,\ t_8 が求まり、一般項

 \hspace{15px} (a,\ b,\ c,\ d,\ e,\ f,\ g,\ h) \\
\displaystyle = t_1+t_2\cos{n\pi}+t_3\sin{\frac{n\pi}{2}}+t_4\cos{\frac{n\pi}{2}}+2t_5\sin{\frac{(3n-\sin{\frac{n\pi}{2}})\pi}{12}} \\
\displaystyle \hspace{15px} +2t_6\cos{\frac{(3n+\sin{\frac{n\pi}{2}})\pi}{12}}+2t_7\sin{\frac{(3n-3+\cos{\frac{n\pi}{2}})\pi}{12}}+2t_8\cos{\frac{(3n-3-\cos{\frac{n\pi}{2}})\pi}{12}}

が求まります。



さて、ここからが本番です!!

・・・・・・と言いたいところですが、続きは作成中です。

次は周期  12,\ 3・2^m,\ 2^m の順で一般項を作っていくつもりです。


次 → 任意の周期数列を作る その2 - 冷水催眠


*1:周期が4以上のときにも使うことを考えて(-1)^nにはしていません。

*2:なるべく単純な式で表したいので、各数列の周期の和が最も小さくなるように周期の短い(きれいな一般項の)数列を使う形をとっています。