2つの円の共通接線に囲まれた部分の面積+おまけ


↓前回の記事
hg.hatenablog.jp

前回のおまけです。
面積をいろいろ求めてみました。途中式は省略しています。

2円と共通内接線に囲まれた部分の面積

 \text{O}(0,\ 0),\ \text{P}(p,\ q) を中心とした半径  r_1,\ r_2 の2円について,下の[図 1]の水色の部分の面積  S は次の式で表されます。

{
    \displaystyle S = ({r_1}^2+{r_2}^2) \left( \frac{\sqrt{p^2+q^2-(r_1+r_2)^2}}{r_1+r_2}-\cos^{-1}{\frac{r_1+r_2}{\sqrt{p^2+q^2}}} \right)
}

ここで, \cos^{-1} は値域を  \lbrack 0, \pi \rbrack とする  \cos逆関数です。


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[図 1]


2円と共通外接線に囲まれた部分の面積

 \text{O}(0,\ 0),\ \text{P}(p,\ q) を中心とした半径  r_1,\ r_2 の2円があります。ただし  r_1 > r_2 であるとします。

このとき下の[図 2]の水色の部分の面積  S は次の式で表されます。

{
\begin{align*}
    \displaystyle S &= {r_1}^2 \left( \frac{\sqrt{p^2+q^2-(r_1-r_2)^2}}{r_1-r_2}-\cos^{-1}{\frac{r_1-r_2}{\sqrt{p^2+q^2}}} \right) - \pi {r_2}^2 \\
    \displaystyle &= {r_1}^2 \left( \frac{\sqrt{p^2+q^2-(r_1-r_2)^2}}{r_1-r_2}+\cos^{-1}{\frac{r_2-r_1}{\sqrt{p^2+q^2}}} \right) - \pi({r_1}^2+{r_2}^2) \\
\end{align*}
}


f:id:hge:20160305111838p:plain

[図 2]


2円の共通接線の接点間の距離

これは三平方の定理で簡単に求められます。


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[図 3]


まずは共通内接線の接点間の距離  d_i を求めます。

[図 3]の左のように点  Q をとります。

図より,接点間の距離は  QP と等しいので  OP = \sqrt{p^2+q^2},\ OQ = r_1+r_2 から

 d_i = QP = \sqrt{p^2+q^2-(r_1+r_2)^2}

を得ます。

次は共通外接線の接点間の距離  d_e を求めます。

[図 3]の右のように点  Q をとります。

図より,接点間の距離は  QP と等しいので  OP = \sqrt{p^2+q^2},\ OQ = |r_1-r_2| から

 d_e = QP = \sqrt{p^2+q^2-(r_1-r_2)^2}

を得ます。

前回でもよく登場したこの値は接点間の距離だったのだ!


円外の点から引いた接線

実は円  C_2半径を  r_2=0 とすることで  C_2 の中心  (p,\ q) から円  C_1 へ引いた接線の方程式を求めることができます。

[前回の記事]における接点  (\alpha,\ \beta) の解に  r_2=0 を代入し, r_1 r と書き直せば

{
\begin{cases}
    \displaystyle \alpha = \frac{pr^2 \pm qr \sqrt{p^2+q^2-r^2}}{p^2+q^2} \\
    \displaystyle \beta = \frac{qr^2 \mp pr \sqrt{p^2+q^2-r^2}}{p^2+q^2}
\end{cases}
}

となり,中心  (0,\ 0),半径  r の円へ点  (p,\ q) から引いた接線の方程式は  \alpha x+\beta y=r^2 です。


また,中心  (x_1,\ y_1),半径  r の円へ点  (x_2,\ y_2) から引いた接線の方程式は  p=x_2-x_1,\ q=y_2-y_1 として上の式に代入して求めた  \alpha,\ \beta を用いて  \alpha (x-a)+\beta (y-b)=r^2 で与えられます。


おまけ

2円  C_1,\ C_2に共通接線が合計4本存在するとき,円  C_1 の中心を  O,半径を  r とし,円  C_1 と共通内接線との接点の1つを  A,同じく共通外接線との接点の1つを  B,共通内接線同士の交点を  C,共通外接線同士の交点を  D とすると

 \displaystyle \overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OC} = \displaystyle \overrightarrow{OB} \cdot \overrightarrow{OD} = r^2

が成り立ちます。

(証明:  \hspace{12px} |\overrightarrow{OC}| \cos{\angle COA} = |\overrightarrow{OA}| = r, \hspace{12px} |\overrightarrow{OD}| \cos{\angle DOB} = |\overrightarrow{OB}| = r


ここで, \displaystyle \overrightarrow{OA}=(\alpha,\ \beta), \hspace{12px} \overrightarrow{OC}=\left(\frac{pr_1}{r_1+r_2},\ \frac{qr_1}{r_1+r_2}\right) \displaystyle \overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OC} = {r_1}^2 に代入すれば  \alpha p+\beta q=r_1 (r_1+r_2) が導けます。

同様に  \displaystyle \overrightarrow{OB}=(\alpha,\ \beta), \hspace{12px} \overrightarrow{OD}=\left(\frac{pr_1}{r_1-r_2},\ \frac{qr_1}{r_1-r_2}\right), \hspace{12px} \overrightarrow{OB} \cdot \overrightarrow{OD} = {r_1}^2 から  \alpha p+\beta q=r_1 (r_1-r_2) も導けます。

この2式は前回の記事 |\alpha p+\beta q-{r_1}^2|=r_1 r_2 に対応しています。